高校英語リスニング完全攻略②|英語のリズムをつかむ―強弱(ストレス)で聞こえ方が変わる

「英語は速すぎて聞き取れない…」――それ、実は速さではなくリズム(強弱)の問題です。英語はストレス・タイミングという独特のリズムで流れ、強い音に合わせてテンポが決まります。本記事では、理論→実例→練習→自己採点まで、独学でも再現できる形で徹底解説します。


1. なぜ英語が聞き取れないのか(結論:リズムの違い)

日本語は「モーラ(音拍)」がほぼ等間隔の言語。一方、英語はストレス(強勢)を基準にテンポが決まる言語です。つまり、全部の単語を同じ強さ・同じ長さで発音しないのが英語の自然な姿。ここを誤解すると、弱く短い音が“消えたように”感じ、聞き漏らしが起こります。

例: I WANT to GO home.(強い語=WANT / GO / home)
→ 強い音にテンポが揃い、to は短く弱く添えられる。

2. 英語リズムの基本ルール:ストレス・タイミング

  • 強勢(stress):意味語(名詞・動詞・形容詞・副詞など)に乗る。
    → 声をやや大きく・長く・高めに。テンポの“拍”。
  • 弱勢(unstressed):機能語(冠詞・前置詞・代名詞・助動詞など)。
    短く・軽く・低めに流して接続材の役目。

ポイント:英語は強い音だけでテンポを刻むと覚える。弱い音は“間を埋める”。

3. 日本語との違い(可視化して理解)

言語 リズムタイプ 音の単位 特徴
日本語 モーラ・タイミング 音拍(ほぼ等間隔) 「た・べ・ま・す」等拍で平坦になりやすい
英語 ストレス・タイミング 強勢単位(拍=強い語) 強弱と長短のメリハリでテンポが決まる

4. 強弱パターンを例文で体得(実例10)

太字=強勢。弱勢は小さく・速めに添えるイメージ。

  1. I WANT to GO home.
  2. She BOUGHT a new CAR.
  3. WE NEED to TALK now.
  4. Could you PASS the SALT?
  5. THIS WEEK was PRETTY tough.
  6. It was a GREAT IDEA.
  7. DON’T FORGET to CALL me.
  8. HE WANTS to be a DOCTOR.
  9. THANK you for your HELP.
  10. WHAT TIME do you USUALLY get up?

聞き方のコツ:強勢だけ拾っても意味が通るか試してみる(例:WANT / GO / home)。

5. 独学3ステップ・リズムトレーニング

  1. 強音だけを言う(拍取り)
    例①:WANT / GO / HOME を一定テンポで手拍子しながら声に出す。
    例②:BOUGHT / CAR だけを強く、a / new は小さく口パクでも可。
  2. 弱音を薄く“塗り足す”
    強勢を崩さず、弱勢を小さく短く挿入。I WANT to GO home(to を“添える”)。
  3. テンポ固定→速度を少し上げる
    メトロノーム(60→72→84bpmなど)で、強勢がズレないことを最優先。

6. オーバーラッピング&シャドーイングのやり方

オーバーラッピング:音声と“同時に”読む。自分の強弱が音声とズレる箇所を発見しやすい。
シャドーイング:0.3~0.5秒遅れで追いかける。流れを体に入れる。

  • ① 短文(4~7語)で実施 → ② 一息で言えるまで反復 → ③ 次の文へ。
  • 録音して「強勢語の音量・長さ・高さ」を自己採点(下のチェック表を使用)。

7. チャンク(意味グループ)×リズムで“止まらず話す”

意味のかたまりごとに小休止を入れると、強弱が整い、聞き取りやすく話せます。

例: When I was a child / I used to read / every night.
[When I was a child](ゆっくり) / [I used to read](強勢=used / read) / [every night](余韻)

練習:スラッシュを自分で入れて音読 → 録音 → 強勢の位置が毎回同じか確認。

8. セルフチェックリスト&誤解あるある

セルフチェック できた/未
強勢語だけを並べても意味が伝わる配置になっている □/□
弱勢語の音量・長さを強勢より明確に落とせている □/□
テンポを上げても強勢位置がズレない □/□
文頭・文末で平坦にならず、抑揚がある □/□
録音を週2回以上振り返っている □/□
よくある誤解 実際はこう!
英語は早口で聞き取れない × 弱勢が短く薄いだけ。強勢は一定テンポで規則的。
全部ハッキリ発音すれば通じる × 強弱がないとロボット的に聞こえ、聞き取りづらい。
リズムは“発音上級者向け” × むしろ基礎。リスニング改善の最短ルート。

9. 7日間の自習プラン(テンプレ)

  1. Day1:本記事の実例1~3で「強勢だけ読み」→弱勢を薄く追加。
  2. Day2:実例4~6でオーバーラッピング(60→72bpm)。
  3. Day3:実例7~10でシャドーイング(0.3~0.5秒遅れ)。録音→自己採点。
  4. Day4:ニュース/英会話素材を15秒抜き出し、強勢語に太字マーク。
  5. Day5:チャンクにスラッシュ → 一息で音読 → 速度を少し上げる。
  6. Day6:Day1~5の中で苦手な2文を100回反復(短文多回が最短)。
  7. Day7:総復習&録音アーカイブの聴き比べ(Day1との差分をメモ)。

10. まとめ:英語は“音楽”として聞く

  • 英語は強勢でテンポを刻むストレス・タイミング言語。
  • 強い音だけ拾っても意味が通る配置が“正しいリズム”。
  • 独学は「強勢だけ読み → 弱勢を薄く追加 → テンポ固定 → 録音確認」の順で。

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